研究テーマ


超微量分析システムの開発と環境・生命分野への展開

Takagai_Lab

 


超微量分析システムの開発と環境・生命分野への展開

環境中や生体内に存在する超微量成分の分析法の開発を行っています。現代社会の飛躍的な進化によって環境や生体などに影響を及ぼす超微量成分の存在(例えば,環境ホルモンなど)が,知られるようになりました。しかし,微量成分の分析は非常に難しく,様々な問題があります。この問題を化学の力で解決し,社会的が求める分析ニーズに一つ一つに応えていけるよう日々研究しています。


均一溶液中の二相分離現象に基づく新しい濃縮・分離システムと微量分析への展開

地球環境や環境汚染の問題は深刻化を増し,特に,微量な特定の化学物質による環境汚染や人的被害の問題は,メディアや報道等でも大きくクローズアップされ,私たち一般市民にも分かりやすい形で問題提議がされております。私たちは,分析化学的な立場からこれらの問題を解明するため研究を行っています。色々な問題を引き起こす化学物質の濃度は,必ずしも濃度の濃いものだけとは限りません。そのほとんどの存在濃度は,非常に希薄(ppb~ppt [ng/L]レベル以下)なため,たとえ高感度な分析機器を使用したとしても必ずしも検出できるとは限りません。川の水が常に流れているように,分析対象物を取り巻く環境は常に変化しています。これらの環境動態を迅速に把握するためには,国が定めている分析方法(具体的には,前処理(濃縮分離)法)のような,抽出,濃縮,誘導体化などを何度も行う複雑な操作ではなく,専門家だけでなとも誰もが簡単に行うことのできる技術の開発が急務です。この「超微量成分の検出手段」は,産学官を巻き込んだ昔からある大きな課題の一つであります。私たちは独自の高速濃縮分離システム(前処理)を開発することでこの課題解決に貢献したいと考えています。分析装置自体の機械的な改造・改良は,非常に大きな費用と労力と時間が必要です。しかし,私たちは,独自に濃縮分離法の開発することで,分析装置自体を機械的に改造・改良することなく,ケミカルアプローチだけで分析感度を数千倍~数百万倍に,飛躍的に向上させる研究を行っています。

 


微量な環境汚染物質の分析システム

環境汚染物質のひとつである『多環芳香族化合物(PAHs)』の新しい分析方法を開発しました。20mL程度の少量の溶液から,pptの濃度レベルを30分以内に計測できます。これまでの環境分析では,検出感度を保つために数リットルの試料量を必要としており,それぞれに10時間程度の前処理操作が必要でした。したがって,多県にまたがる阿武隈川のような長距離河川の多点モニタリングにおいては,想像を超える時間と労力,さらには,試料の保存場所が大変な問題でした。この研究により,多量の試料を必要とせず,迅速に分析を行うことが可能になりました。


ケミカルセンシングデバイスの開発

バナジウムイオンの簡便な分析方法を開発しました。試験紙タイプで,バナジウムイオンのみに選択的に紫色に発色します。この試験紙は,セルロースにデスフェリオキサミンBを化学固定化したものです。デスフェリオキサミンBは,さまざまな金属イオンと結合することが知られていますが,母剤(セルロース)の色と妨害成分の色の色差をなくすことで,選択性の高いセンシングができました。

アクリル系ポリマー樹脂に蛍光樹脂を含浸させたマイクロポリマービーズを蛍光プローブとして使用することに成功しました。アンモニアを始め色々なアミン類のVapor(蒸気)の検出・定量に利用できます。アクリル樹脂の微小空間内の酸塩基平衡反応を利用することで,可逆的な変化を可能にしました。本蛍光プローブは湿度の高い環境でも使用できることが大きな特徴です。また,含浸させる色素を色々変えることで,蛍光プローブとしてだけではなく,様々な可視化センシングデバイスとしても利用できます。


その他、主な研究分野

  • 超微量分析システムや高感度分析システムの開発
  • 高性能分離システムの開発と環境・生体分野への応用
  • 超微量成分の構造解析法